初夏のおもてなしメニュー 

    日本料理に込められているもの

    日本料理では、6月を境に ガラスの器が使えるようになります。

    食器にも季節感を大切にする 日本独特の習わしですね。

     

    旬の食材をふんだんに使い

    食べる人の事を考えたお献立や盛り付け。

    丁寧に食材を扱い、旨味を最大限に引き出す手法。

     

     

     

    旬の食材を使う…

    すなわち、一番栄養価が高く 身体に合った食材を頂くことで

    元気に過ごす。という願いが込められています。

     

    食べる人の事を考えて…

    日本料理は 一口サイズ、が基本です。

    お箸で切れないものは、あらかじめ隠し包丁を入れる、

    一口サイズに切る等、間違っても歯で嚙み切る事がないよう

    にします。

     

    食材の旨味を引き出す…

    時間をかけてゆっくりだしを引く。

    下味をつける。

    味が沁みやすいように 下茹でやあく抜きをする。

    など、見えない所で 手間と時間を惜しみません。

     

     

    手間暇はかかるけれど、そこに食材への感謝の気持ちや

    食べてくれる方への思いが詰まり、味わいもひとしおなのだと思います。

     

    水無月の日本料理レッスン

    揚げ物のコツ

    今月の日本料理レッスンは、 生徒様のリクエストで

    今回、一部メニューを変更しました。

     

    『お客様に美味しい海老の天ぷらを召し上がって頂きたい』

    との 熱い思いを叶えて頂くべく、少し時間が経っても美味しく

    召し上がって頂ける「海老の天ぷら」 。

     

     

    天ぷらは 一言で言えば 、「衣を付けて揚げるだけ」

    のお料理ですが、

    油の温度、衣の固さ、油から引き揚げるタイミングで

    美味しさが断然違ってきます。

     

    が、その加減が分かれば 「衣を付けて揚げるだけ」

    で、食材がご馳走に生まれ変わります。

    例え 野菜だけでも、メインになるのですから

    考えると 素晴らしい料理法ですね。

     

     

    長く揚げると水分が飛び過ぎて 食材の旨味も逃げ、

    身も締まるので 美味しさが半減してしまいます。

     

    逆に水分の多い食材は、揚げる事で程よく水分が抜け、

    旨味が凝縮されて美味しくなります。

     

    引き上げる時のタイミングは

    衣を触った時の感覚です。

    全体にカリッとしたタイミングで引き上げる。 

     

    それ以上揚げ続けると、今度は食材から水分が

    出て 油が跳ね始めます。

     

    ちょっとした事で 同じお料理でも

    見た目も味わいも変わってしまいます。

     

     

    これは、器にも言える事。

    色合いや食器によっても 見た目が変わり、

    「美味しそう」という情報がインプットされる事で

    味わいまでも変わると言われています。

     

    水無月のお献立

    先付け: 焼き鱧のポン酢ジュレ

    七味唐辛子を振って香ばしく焼いた鱧をさっぱり ポン酢のジュレで戴きます。

    揚げ物: おくらの揚げ出し

    おくらをミキサーにかけて揚げ出しに。
    ふんわり絶品!

    椀物は、これから旬のとうもろこしをふんだんに使ったお椀種。

    あしらいは夏らしい輪つなぎきゅうりとおろししょうが。

     

    骨ごと戴ける 鮎の梅煮(今回は ご希望で海老の天ぷら)

     

    ご飯ものは 新茶を使ったさっぱりしたお茶漬けです。

    出し殻の新茶に桜えびを合わせてカリッとかき揚げにし、

    熱々のご飯に揚げたてのかき揚げをのせ、冷たい新茶をかけて頂きます。

    最後のお菓子は 柔らかな求肥が入った 水ようかん。

     

    小豆からあんを手作りした、 甘さ控えめで小豆の美味しさがしっかり味わえる和スィーツ。

     

    小豆は コーヒーとも良く合います。

    手間暇と気持ちを込めて作られたお料理は、食べた時の感動、

    食べ終わった時の満足度もひとしおです。